「あれ、ご飯食べないの?」とワンちゃんがドッグフードを食べないと、つい心配してしまいますよね。
人間と違って言葉で体調や気分を伝えることができないワンちゃんだからこそ、飼い主が小さな変化を見逃さずに確認することが大切です。
また、犬の食欲が落ちる原因は、病気だけとは限りません。
なぜなら、まず身体的な不調だけでなく心理的・環境的な原因を広く見ることが大切で食欲低下の背景を総合的に確認する必要があるからです。
目次
犬の食欲が落ちた時に注意したい4つのこと
| チェックポイント | 確認したい内容 | 判断の目安 |
| 元気 | 散歩に行きたがるか、ぐったりしていないか | 元気がないなら早めの受診を考える |
| 水分 | 水を飲めているか、急に飲水量が減っていないか | 水も飲めないなら受診を急ぐ |
| 嘔吐・下痢 | 吐いていないか、便がゆるくないか、血が混じっていないか | 続く場合は受診が必要 |
| 体重 | 急に痩せていないか、抱いた感触が変わっていないか | 体重減少があるなら原因確認が必要 |
犬の食欲低下は、消化器や口の中の不調のような身体的な問題で起こることもあれば、引っ越しや留守番、加齢、フードの変化といった日常の要因でも起こります。
だからこそ飼い主は「食べない」という一点だけで原因を判断せず、上記の4つのチェックポイントを総合的に確認して、愛犬の体調の変化を確認することで重症化を予防することが大切です。
この記事では、犬の食欲が落ちる原因と、元気がない・食べないときのチェックポイント、対処法についてご紹介します。
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記事の監修者
村瀬 由真: ペット栄養管理士・管理栄養士
動物栄養の記事執筆を中心に活動。動物看護師として子犬の食事指導やフード選びセミナーも開催経験あり。5匹のチワワと3匹の猫に囲まれ、日々の暮らしから得た実感を記事に込めています。管理栄養士の知識を「大切なペット」にも活かし、動物想いの人があふれる社会になるよう願いを込めて発信しています。
愛犬が「食べない」は病気?それとも老化? 食欲低下の原因とは?

犬の食欲が落ちる原因は、実にさまざまで、必ずしも病気のせいだけとは限りません。
犬の食欲が落ちる背景には、消化器や口腔内の身体的問題や、環境の変化や生活リズムの乱れといったストレスで食事が進まなくなったり、中には犬の気分がのらないからという思いもよらない一時的な原因が隠れていたりすることもあります。
ただし、犬の食欲が明らかに低下し、水だけを飲んだり、全く食事もせず3日以上も食欲不振のような状態が続く場合は、早めに動物病院の受診が必要です。
この章では、犬の食欲が落ちる原因について詳しく解説します。
犬の食欲低下を見分ける原因一覧表
犬の食欲が落ちたときは、原因を落ち着いて確認しながら、大きく分けて整理することが必要です。
犬の食欲不振は、消化器や口の中の異常などの身体的な問題だけでなく、次の表のように引っ越しや留守番によるストレス、加齢やフード変更のような生活要因でも起こります。
| 原因カテゴリ | 飼い主が確認したい点 |
| 病気・身体的問題 | いつから食べないか、吐いていないか、口を痛がっていないか |
| 心理的・環境的要因 | 最近の生活環境に変化があったか、強い緊張がなかったか |
| 生活習慣の問題 | おやつの量が増えていないか、食事リズムが崩れていないか |
| 加齢による変化 | シニア期に入っているか、急激な変化か緩やかな変化か |
| ドッグフードの問題 | 最近ドッグフードを変えたか、粒の大きさや香りが合っているか |
表のように犬の食欲が落ちる理由は、病気だけとは限りません。
犬は、人間が口内炎や胃腸の不調のせいで食事がつらくなるように、消化器や口の中の不調があると食事を負担に感じ、食べなくなることもありますし、人間のように引っ越しや留守番、生活リズムの変化など日常の小さな変化にも影響を受け、食欲が落ちることがある動物なのです。
またシニア期の体力低下や、服用中の薬の影響で食欲が落ちることもあります。
もし、愛犬の食欲が急に落ちたときは、食事量だけでなく、普段と比べた元気、便や尿など排せつ物の状態を確認し、歩き方や表情など細かいしぐさの変化まで見ることが大切になります。
(1)病気が隠れる食欲低下の危険サイン
犬の食欲が落ちる原因として、まず注意したいのが内臓の病気や口の中を含む身体的な問題です。
犬の体は、消化器トラブル、異物誤飲、寄生虫、歯周病、口内炎、腎臓病、肝臓病などがあると、食べること自体が負担になり、痛みや吐き気、強い不快感によって食事を受けつけにくくなります。
このような体調不良による犬の不調は、単に食べないだけでなく、嘔吐、下痢、口臭、よだれ、元気消失、体重減少といったサインとして表れることもあります。
愛犬の食欲低下が見られた際には飼い主は、愛犬がいつから食べていないか、吐いていないか、口を痛がる様子がないかを確認し、全身の状態を確認するようにしましょう。
(2)環境の変化で犬の食欲は揺らぎやすい
犬の食欲が落ちる原因は、精神的な負担を含む心理的・環境的な要因で起こることもあります。
人間の子どもが引っ越しや新しい家族が増えたことで、気持ちが不安定になり、そのストレスから食欲が落ちることがあるのと同じように、犬も環境の変化や緊張しやすい理由から、食欲が低下することがあります。
代表的な原因が長時間の留守番や飼い主との旅行、ペットホテルに預けるなど、普段と違う出来事によって強い緊張を受けることで、犬の心が不安定になり、食欲が落ちてしまうことがあります。
こういったストレスからの食欲低下は、犬が食事をしたがらないだけでなく、落ち着きがない、食事中にそわそわする、下痢を伴うといったサインが見られることがあります。
(3)生活習慣の乱れが食欲低下を招くことも
毎日の生活習慣の乱れによっても犬の食欲が落ちることがあります。
例えば、おやつの与えすぎや間食の回数が増えたり、留守番や生活リズムの乱れが原因で食事の時間が不安定になることがあります。
また、散歩の時間が足りなかったり、散歩不足から運動量が低下し運動不足が続いたりすると、本来の空腹リズムが崩れて食欲が安定しにくくなることがあります。
人間の生活でも運動と食事のバランスが崩れると食欲に影響が出るように、犬も主食のドッグフードを残したり、おやつだけは食べたりするという食べ方の偏りが出ることがあります。
もし、安定した時間で食事ができていない場合や「おやつを食べさせすぎかも」という心当たりがあるのなら、毎日の中で一定にした食事時間やおやつの量に注意するようにしましょう。
(4)加齢による変化は緩やかに表れやすい
人間が歳を取って、活動量が減って食事の量も変わるように、シニア期に入った犬の体は、運動量の低下、嗅覚や味覚の衰え、活動量の減少によって、若い頃より食事への関心が弱くなることがあります。
犬の老化は急に起こるものではありません。
年齢と共に食べる量が少しずつ減る、食べる速度が遅くなるといった形で、緩やかに食欲の変化が表れやすい点が特徴です。
ただし、加齢が原因と思っていた食欲の変化の中に病気が隠れていることもあり、食欲の低下が気になる場合は、動物病院を受診し、獣医師に相談して原因を確認するようにすることをおすすめします。
(5)フードが合わずに食欲が落ちるケースもある
ドッグフードを変更した場合も、ワンちゃんの食欲が急に低下することがあります。
人間と違い、犬はドッグフードが急に変わり、においや味に強い違和感を覚える場合は、これまで食べていたようには新しいドッグフードを全く食べなくなることがあります。
またドッグフードが愛犬の好みと違い、ドッグフードの香りや硬さの変化や口に合わない粒の大きさ、食べにくい形状などに敏感に反応し、食べるのを嫌がることがあります。
この場合は体調不良が原因ではありませんが、この状態が続くと栄養不足になるリスクがあるため、ドッグフードを切り替えて食いつきが悪い場合は、好きなおやつを少量だけ混ぜたり、新しいドッグフードにウェットフードをトッピングしたりすることで、食欲を刺激することができる場合があります。
犬の食欲不振の際に気をつけたい4つのチェックポイント

「あれ、ご飯たべないな?」と犬の食欲不振に気づいたときは、元気、水分、嘔吐や下痢、体重の4つをあわせて確認することが必要です。
犬は人間のように言葉で不調を伝えられないため、飼い主が日常の小さな変化から体調の悪化の度合いを見分けることが早めの対応につながるため大切になります。
犬の健康状態は「ご飯を食べない」というだけでは原因や重症度を判断しにくく、次の4つの表のポイントを複合的に確認して、体調の変化がどこまで進んでいるかを把握することで、受診の必要性を判断することができるようになります。
愛犬の不調を総合的に確認するチェックリスト
| 元気 | 水分 | 嘔吐・下痢 | 体重 | 判断の目安 |
| あり | 飲む | なし | 安定 | 様子見で可、数日以内に回復すれば問題なし |
| あり | 飲む | あり | 少し減 | 数日以内に受診を検討 |
| なし | 飲む | あり | 減少 | 早めの受診が必要 |
| なし | 飲まない | あり | 急減 | 即日受診・緊急対応 |
犬の食欲不振で病院を急いだほうがよいのは、元気がなくぐったりしている、水をほとんど飲まない、嘔吐や下痢が続く、体重が目に見えて減っているといった状態がある場合です。
特にドッグフードを食べないうえに水も取れない場合や、急に動かなくなった場合は、脱水や重い病気が進んでいるおそれがあるため、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
また、ワンちゃんがある程度元気があるように見えても、3日以上食べない状態が続く場合は軽く考えず、ほかの症状の有無にかかわらず動物病院へ連れていくようにしましょう。
犬の食欲が落ちたときの食事のコツと対処法

犬の食欲が落ちたときに飼い主が愛犬にしてあげられることは、無理に食べさせることではありません。
ワンちゃんが自然に「これ食べたい」という気持ちを取り戻せるように食事を工夫し、食欲を刺激するような環境で整えることが大切です。
そして、その対処法として基本になるのが、次の箇条書きのような食事の工夫です。
- テレビの音や人の出入りを減らし、食事中の緊張を和らげる
- 前の食事から適切な間隔を空けて、空腹のリズムを整える
- ドッグフードを出して15〜20分で食べなければ下げる
この章では、犬の食欲が落ちたときの食事のコツと対処法について詳しく解説します。
【関連記事】犬のおやつで食いつきが良い素材とは?小型犬が好きな食材・ドッグフードの種類を徹底解説
(1)食事中の緊張を減らして食べやすくする
犬の食欲が落ちているときは、まず食事に集中できる静かな環境を整えることが大切です。
テレビの音が大きい部屋や、人の出入りが多い場所では、犬は周囲が気になって落ち着いて食べにくくなります。
飼い主は、食器を部屋の隅や壁際など安心しやすい場所に置き、食事の時間だけでも音や動きを減らしてあげましょう。
多頭飼いの場合は、ほかの犬や猫の視線がストレスになることもあるため、別の場所で食べさせるようにするのもおすすめです。
(2)食事の間隔を整えて空腹リズムを戻す
犬の食欲不振を改善する際には食事の回数だけでなく、前の食事からの間隔を毎日近い時間に整えることも効果的です。
ご飯を食べる時間が毎日ばらばらだったり、間食やおやつを与える量が多かったりすると、犬の空腹リズムが乱れて主食を食べにくくなります。
飼い主は、成犬であれば1日2回を目安にしながら、前の食事から8〜12時間ほど空けて与えるように意識するようにしてください。
人間もそうですが、犬も食事の間隔が安定すると、犬の体が自然に空腹を感じやすくなり、自然と食欲を取り戻しやすくなります。
(3)食べなければ下げて食事の流れを立て直す
犬がドッグフードを前にしても食べない場合は、長時間置きっぱなしにせず、15〜20分ほどで下げるのも1つの手です。
飼い主からすると「かわいそう」と感じてそのまま置いておきたくなってしまいますが、逆にいつでも食べられる状態が続くと、犬は食事の時間を意識しにくくなります。
そうなると「だらだら食べ」や「食べ渋り」が定着しやすくなり、食事のリズムが乱れて偏食のような問題が生じてしまう場合もあります。
だからこそ飼い主は、心を鬼にしてドッグフードを食べなかったとしてもその場でおやつを与えず、次の食事時間まで待つようにしましょう。
この流れを数日続けると、犬は「今食べないと次までない」と理解するようになり、きちんとした食習慣を取り戻しやすくなります。
なお、ワンちゃんの元気がない場合や2〜3日続けて食べない場合は、しつけの問題ではなく体調不良の可能性もあるため、早めに動物病院へ相談するようにしてください。
犬の食欲低下は原因を見極めることが大切!
ワンちゃんが「ご飯を食べない」「食事をする量が減ってきた」という気になる変化が見られたときに大切なのは、その原因を落ち着いて見極めることです。
犬の食欲は、病気や身体の不調だけでなく、環境の変化や生活習慣の乱れなど多岐にわたって低下するので、飼い主に必要なのは、その原因をしっかりと見極めることです。
そして、その際に飼い主は、元気、水分、嘔吐や下痢、体重の変化を総合的にあわせて確認するようにしてください。
愛犬の全身状態を確認しつつ、自宅での様子見でよいのか、あるいは動物病院への受診が必要なのかを判断し、原因に合った対応をすることで愛犬の負担を減らしながら食欲の回復につなげやすくなります。



