鹿肉ジャーキーは腎臓ケア中の愛犬には基本的におすすめできません。
なぜなら、腎臓病のワンちゃんにとって、リンが豊富で高たんぱくな食材は、ろ過機能が落ちた腎臓に過剰な負担をかけてしまい、老廃物をうまく排出できず、症状の悪化を招く可能性があるからです。
特に慢性腎臓病ステージ2以降の子では、たんぱく質やリンの摂取制限が獣医師から指導されるケースも少なくありません。
残念ながら鹿肉ジャーキーのような高たんぱく・高リンな食材を“体に良さそう”というイメージだけで与えてしまうのは、大きなリスクとなるからです。
鹿肉ジャーキーは腎臓ケア中の愛犬にはおすすめできない理由とは?
- 鹿肉は高たんぱく・高リンで、腎臓に負担がかかりやすい
- 腎臓病の犬は、たんぱく質とリンの摂取量に制限がある
- 無添加・低リン・低たんぱくなおやつを選ぶことが基本方針
- どうしても鹿肉を与えたいなら、必ず「少量」かつ「獣医師への相談」が前提
- 十勝ぼっこの鹿肉ジャーキーも、腎臓病用としてではなく“補助的”なおやつとして考える必要がある
鹿肉ジャーキーだけでなく、高たんぱくなドッグフード全般についても同じことが言えます。
腎臓病の子にとって重要なのは「何を与えるか」ではなく、「何を控えるか」の視点だからです。
この記事では、腎臓ケア中のワンちゃんに避けるべき食材やおやつについてはもちろん、代替となる安心安全な選び方のポイント、与える際の判断軸まで、獣医師の見解や栄養データをもとに丁寧にご紹介していきます。
【関連記事】グレインフリー×鹿肉で変わる愛犬の健康!健康のためにグレインフリーがおすすめな5つの理由

記事の監修者
村瀬 由真: ペット栄養管理士・管理栄養士
動物栄養の記事執筆を中心に活動。動物看護師として子犬の食事指導やフード選びセミナーも開催経験あり。5匹のチワワと3匹の猫に囲まれ、日々の暮らしから得た実感を記事に込めています。管理栄養士の知識を「大切なペット」にも活かし、動物想いの人があふれる社会になるよう願いを込めて発信しています。
そもそも腎臓ケア中の愛犬に「鹿肉ジャーキー」は与えていいの?

食後、ふとキッチンに目をやると、じっとこちらを見つめてくる小さな瞳。
「もう食べちゃだめなの?」とでも言いたげなその表情に、胸がぎゅっと締めつけられる――でも、腎臓病だから食事のすべてを「制限」しないといけない。
腎臓ケアが必要な愛犬にとって、食事はまさに“治療の一部”です。
食べる喜びが奪われることで、元気や表情に影響が出てしまう子も少なくありません。
ただし、鹿肉はリンやたんぱく質が比較的多いため、腎臓病の犬に日常的に与える主食向きではありません。
とはいえ、鹿肉ジャーキーも1日15グラム程度から与えることで、愛犬の腎臓への負担を抑えやすく、“食の楽しみ”をサポートしやすくなります。
鹿肉ジャーキーが腎臓病の犬におすすめなできない3つの理由
- 鹿肉はリン含有量が高めで、腎臓に負担をかけやすい場合がある
- 高たんぱくであるがゆえに、たんぱく質制限が必要な子には不向きなケースがある
- 市販品の中には添加物や保存料が含まれ、体に余計な負荷をかけることがある
ヘルシーで高たんぱく。そんなイメージから「うちの子も鹿肉なら大丈夫そう」と思う方もいるかもしれません。
確かに鹿肉は栄養価が高く、良質なたんぱく源です。
しかし、腎臓病の進行度や体質によっては、かえって犬の身体に負担をかけてしまうこともあります。
その理由のひとつが、リンの含有量にあります。
鹿肉に含まれるリンの含有量と犬の腎臓病の関係
そもそも腎臓病の犬は、血中のリン濃度をコントロールする力が弱くなっています。
そんな状態で身体の中にリンを過剰に摂取し、それが体内に蓄積されると、腎機能がさらに低下し、病状の進行や食欲不振・骨の異常などを招く原因になることがあります。
| 肉の種類 | リン含有量(mg) |
| 鹿肉(生) | 約210mg |
| 牛肉(もも・生) | 約180mg |
| 鶏むね肉(皮なし・生) | 約150mg |
このように、鹿肉は牛や鶏肉よりもリン含有量が多めであり、腎臓病のワンちゃんにとっては“日常的に与える食材”としてはおすすめできません。
少量かつ獣医師の指導のもとであれば、補助的に鹿肉ジャーキーを与えて問題ない場合もあります。
しかし、「健康に良さそう」というイメージだけで、自己判断で腎臓病のワンちゃんの毎日のおやつに鹿肉ジャーキーを与えるのはやめましょう。
高たんぱくの鹿肉は腎臓病の犬にはデメリット?
まず知っておいていただきたいのは、腎臓病の犬にとって「たんぱく質の摂りすぎ」も健康リスクになるということです。
たんぱく質は体づくりに欠かせない重要な栄養素ですが、体内で代謝される過程で「窒素性老廃物(尿素・クレアチニンなど)」を生じます。
健康な腎臓であれば、これらの老廃物はスムーズに体外へ排出されます。
ところが、腎機能が低下している状態では、排出が滞り、老廃物が血中に蓄積してしまいます。
その結果、尿毒症のような深刻な合併症や、慢性的な倦怠感、食欲の低下、嘔吐といった症状を引き起こす可能性があるのです。
| 肉の種類 | たんぱく質量(g) |
| 鹿肉(赤身・生) | 約22.6g |
| 牛肉(もも・赤身・生) | 約21.3g |
| 鶏むね肉(皮なし・生) | 約24.4g |
この表を見てわかる通り、鹿肉は非常に高たんぱくで、他の一般的な肉類よりも“栄養価が高い”と言えます。
しかし、それこそが腎臓に不安のある子にとっては“負担”になりうるのです。
特に慢性腎臓病ステージ2以上のワンちゃんでは、たんぱく質摂取量の制限が治療の柱のひとつになります。
そのため、鹿肉ジャーキーだけでなく“高たんぱく”な犬のおやつは、腎臓にリスクをかかえるワンちゃんにはおすすめできません。
安心して与えるために。腎臓病の犬に向けた“おやつ選び”4つのチェックポイント
| チェック項目 | 内容のポイント |
| 無添加であること | 合成保存料・香料・着色料が不使用で、素材本来の風味を生かしたものを選ぶ |
| 低リン素材かどうか | 魚介ベースのエサを選び、リン含有量を明示し、1回あたりの摂取量が制限されているものを選ぶ |
| たんぱく質量が明記されているか | 高たんぱくになりすぎず、腎臓ケア中のワンちゃんでも許容範囲内で与えられる数値で管理されているか |
| 製造元の透明性があるか | 製造者の情報や製造工程、原材料の産地が明記され、信頼性・安全性が担保されている商品であることが重要 |
腎臓ケア中の犬におやつを与えるなら、上記の4点を必ずチェックしましょう。
無添加であること。リンとたんぱく質の量が明記されていること。そして、誰が作っているのかが見えること。
この4つが揃って初めて、安心して与えられる「腎臓病対策になるごほうび」として、愛犬に与えられえます。
腎臓病の愛犬には「無添加」であることが重要な4つの理由
- 添加物の多くは肝臓・腎臓で解毒・排泄されるため、腎臓への負担が増す
- 酸化防止剤(BHA・BHT)などは犬の体内で蓄積しやすく、犬の健康リスクになる
- 着色料や香料が過剰摂取されると、腎臓機能の低下を加速する可能性がある
- 長期的に摂取することで慢性的な内臓疲労や食欲不振につながる恐れがある
腎臓病のワンちゃんにとって、何より重要なのは“代謝にかかる負荷を減らす”ことです。
添加物――たとえば合成保存料、酸化防止剤、人工香料などは、犬の体内に入ると“異物”として認識され、肝臓や腎臓がその処理を担います。
処理の過程では、分解酵素の働きによって化学物質を代謝し、尿として排出する工程が生じます。これは肝臓と腎臓にとって“常に働き続ける必要がある追加業務”であり、本来の老廃物処理以上のエネルギー消費と血流負荷がかかります。
健康な犬であれば、これらの代謝機構は正常に機能するため、大きな問題にならないことがほとんどです。
しかし腎機能がすでに低下している犬にとっては、この“わずかな添加物の処理”すら、腎臓にとっては過剰な負担となりえます。
普段の食事から特に気をつけて欲しい添加物
その中でも特に懸念されているのが、添加物のなかに含まれる「プロピレングリコール」「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」「BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)」といった成分です。
| 添加物名 | 懸念される健康リスク | 注意点(犬への影響) |
| プロピレングリコール | ・赤血球の異常(猫では溶血性貧血を起こす)・肝臓・腎臓への負荷 | 犬では少量使用が許可されているが、腎疾患のある犬には避けるべき |
| BHA(ブチルヒドロキシアニソール) | ・発がん性の疑い(特に長期摂取でリスク上昇)・肝臓負荷 | 欧州などでは使用制限がある添加物。腎臓病犬には極力避けるべき |
| BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) | ・慢性的な肝障害、甲状腺ホルモン異常との関連が指摘される | 動物実験で毒性が報告されており、特に持病のある犬には与えるべきでない |
これらは酸化を防ぐ目的でよく使用されますが、実験的な動物モデル(マウス・ラット)において、腎臓の糸球体と呼ばれる“老廃物をろ過する装置”への構造的ダメージが報告されています。
さらに、これらの化学物質は脂溶性のため体内に蓄積しやすく、時間とともに腎臓の慢性的な炎症を引き起こす可能性も示唆されています。
このような化学物質は、たとえ毒性基準をクリアしていても、腎臓病の犬にとっては“避けるべきストレス因子”です。
だからこそ、腎臓病の犬に与えるおやつを選ぶときには、「無添加」「保存料不使用」「原材料がすべて明記されているかどうか」という3つの視点をもって、犬のおやつを選んでください。
腎臓病の愛犬に適した「低リン食材」とは?選ぶ前に知っておくべき基本
腎臓病のワンちゃんにとって、与えすぎが害になる「リン」は、私たち人間にとっても重要なミネラルです
なぜなら先にも触れたように腎機能が落ちた犬にとってリンは腎臓の機能悪化を早めてしまうリスクファクターだからです。
腎臓病の愛犬が安心して食べられる!低リンおやつ素材の選びのコツ
- 魚類(タラ・カレイなど)はリンが少なく腎臓にやさしい
- 鶏のささみやタラは低脂質・高消化性で腎臓病犬に適している
- 野菜(カボチャ・にんじん)はリンが少なく栄養補助に向く
- 加工食品は避け、食材本来の成分が明記された製品を選ぶ
その中でもおすすめなのは、鶏のささみやタラなどの食材です。
これらは鹿肉や牛肉に比べてリンが少なく、また繊維質なので消化にも優れています。
| 食材名 | リン含有量(mg) |
| 鹿肉(生) | 約200mg |
| 牛肉(もも・生) | 約170mg |
| 鶏肉(ささみ・生) | 約160mg |
| スケトウダラ(生) | 約180mg |
| マダラ(生) | 約230mg |
また、カボチャやにんじんといった根菜類も、リンが控えめなうえ、食物繊維やβカロテンを補える点でも有用です。
ただし「素材が良いから安心」と思い込むのは早計かもしれません。
なぜなら味付けや加工の工程で使用されるリン酸塩や保存料などの添加物が、腎臓への負担になることがあるからです。
リン酸塩(無機リン)は体内への吸収率が90%以上とされ、腎臓病の犬の身体に与える負担は決して小さくありません。
リン酸塩は天然由来のリンに比べて腎臓への負担が大きく、摂取量がわずかでも症状を悪化させる要因となりかねないのです。
どれだけパッケージ上の栄養価が優れていても、加工や添加によって健康を損ねては本末転倒。
素材の良さを活かすには、まず「無添加であること」を基本条件としておやつを選びましょう。
腎臓に不安がある愛犬に鹿肉ジャーキーを与えたい…飼い主が知っておくべきこと

「腎臓病の愛犬に鹿肉ジャーキーは控えたほうがいい」と知ってはいるけれど、どうしても愛犬が喜ぶ姿を見たくて悩んでしまう――残念ながら、鹿肉ジャーキーは高タンパク・高リンのため、腎臓ケア中の犬には日常的に与える主食には不向きです。
しかし、どうしても「食いつきが悪い」ワンちゃんや、気分転換が必要なタイミングには、獣医師の許可を得たうえで、正しい方法と分量を守って与えることは決して悪いことではありません。
そんな腎臓への負担を気にする飼い主さんや、少しでも愛犬の「食べられない」というストレスを減らしてあげたいと願うご家庭に「十勝ぼっこの鹿肉ジャーキー」は、ぜひともおすすめしたい商品です。
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